鍼灸師と超音波エコー

医療事故防止(肺、神経損傷など)

安全性の向上

鍼灸師が一番気を付けなければいけない医療事故が気胸です。肩甲骨上角や肩甲間部を刺鍼する際に肺までの深さはいったい何センチぐらいなのか、疑問に思ったことが一度はあると思います。

そんな時エコーを用いれば、「胸膜の深さ、肋骨の深さ、位置がみえる」ので、
安全に刺鍼することができます。

また、腎臓や腸、神経、血管の深さや位置もエコーで確認することができるので、医療事故を未然に防ぐことができると思います。

このようにエコーを用いることで、施術者も患者さんも安全で安心して施術ができると考えています。

スクリーニング(適応不適応の判断)

評価の裏付け(エビデンス)

臨床で重要なことは、患者さんの症状が鍼の適応か不適応かを判断することです。問診、触診、動作検査などを行ったうえで、エコー観察を加えることで、より精度の高い判断ができると考えています。また、経験と感覚で判断した後にエコー観察し健側と患側を比べて見ることで評価の裏付けを得ることができます。不適応の場合はエコー画像をもとにご高診願いを書くことで科学的根拠を提示することができるようになります。

鍼の見える化(西洋医学的根拠)

エコーガイド下刺鍼Ⓡ、エコーガイド下鍼治療

東洋医学のツボ(経穴)を用いずに、西洋医学のファシア、トリガーポイント、筋膜を対象に超音波エコーで針先を見ながら刺鍼する施術方法です。

通常では施術者の経験値と感覚で刺鍼しますが、エコーで針先を見ながら刺入していくので針先がどこに当たったのか、何を貫いたのかを目で確認できます。

これにより従来のはり施術では難しかった、体の深い部分や、神経、血管、肺の近くでも、安全で確実な施術が可能となります。

また、針先が見えることで、患者さん、医師など第三者の方でも鍼の有効性がわかりやすくなります。

エコーガイド下刺鍼Ⓡの実例

肩関節痛(大結節/横靭帯)

エコー画像
左が患側、右が健側になります

画面の左半分が痛めている肩のエコー画像で、右半分が正常な肩の画像です。

赤丸のついた部分と緑丸がついた部分は同じ部位ですが、赤丸の方が白っぽく厚くなっています。

これが筋膜の癒着部で、エコー画像を見ながらこの部位(赤丸のついた部分)を狙って刺鍼します。

下が実際の刺鍼動画です。

臨床チーム医療連携の共通言語(西洋医学的根拠)

多職種連携

医師、理学療法士、アスレチックトレーナー、看護師などの多職種の方達との

共通言語となるのが「解剖学、生理学、運動学、超音波エコー」です。

西洋医学を共通言語とすることで、医療従事者との信頼関係が構築されます。

信頼関係があることで東洋医学は西洋医学を補う補完医療(付加価値)になると考えています。

ツボ(経絡経穴)の証明(学術面)

ツボとファシアの謎

東洋医学のツボ(経穴)をエコーで観察することで、ツボの科学的根拠となる可能性があります。

今まで理解されにくかったツボの正体がファシアとの関係で少しずつ証明されてきていますので、

今後の学術研究に期待が高まってきています。

最新の研究成果などは以下をご覧ください。

一般社団法人 日本整形内科学研究会(JNOS)のホームページ
URL: https://www.jnos.or.jp

エコー購入時の注意点

コンプライアンス遵守

今ではさまざまな種類の超音波エコーがありますが、当会で推奨している機種は、「医療機器認証がある」エコーの購入を推奨しております。そのため、あまりにも安いエコーは認証がないものが多いのでご注意ください。また、鍼灸師が超音波エコーを使用する目的は施術の判断の補助となりますので、ご理解とご協力のほどをよろしくお願いいたします。

注意事項(ポリシー)

  1. 当会ではエコーを運動器疾患の評価、治療以外(不妊、逆子、美容)には使用しません。
  2. 当会ではエコーを用いても医師法に規定された医行為にあたる「診断」はしません。(※西洋医学的な病名を患者に伝えること、およびそれに類似した行為を言います)
  3. 当会ではエコー検査料の自費請求およびエコーを用いた医薬部外品等の案内等は推奨しておりません。


※本案内の画像は患者さんに承諾を得て使用しております。